優しく尊い世界 

私たちは
いつか死んでしまうとわかっているのに
いつも
まるで永遠に生きるかのように生きる

誰かが死んでしまうときになってはじめて
「まだ足りなかった」
「もっと、もっと」
と思う


でも、私たちには
永遠に、「充分」なんてない

私たちには永遠もないし、
これだけ一緒にいられたらもう失ってもいい、
なんて思えることもない


できることは
いまを生きることだけ

死の存在を忘れてしまうことでも
「もっと」を願うことでもなく
ただ
いまを大切にすることだけ



私たちには、死も未来も失ったものも変えることはできないけど
たしかなのは
「いま」は私たちのものだということ

「いまこの瞬間」は
たしかに存在するのだということ


私たちには
大好きな人と過ごす「いま」があって
大切な友達のいる「いま」があって
可愛い犬のいる「いま」があるのだということ


過去に失ってしまったもののこととは恋しいけど
いつか大切な失ってしまうことは悲しいけど

私たちにはいま、大切な人やものたちがいて
その人やものたちはいまこうしてここに存在していて
私たちはいま、
そのことに感謝したり
精一杯この瞬間に大切にしたり
優しくすることができる


いつか死んでしまうとしたら
いま怒っている出来事
欲しいと思っているものたちなんて
なんの意味もないものに思えたりする

どんなに仕事が忙しかったとしても
高価な何かを壊してしまったのだとしても

いま目の前に広がる夕焼けを
綺麗だと思って眺めることのほうが、
人生には大切なことだったりもする


そう思うと
世界がすごく優しくて
尊いものに思える


IMG_3956.jpg

IMG_3957.jpg

IMG_3955.jpg






愛に落ちるということ 


愛に落ちたとき

それは、あまりにしっくりと心に落ちて
体の細胞のひとつひとつが四六時中
愛で満たされているような感覚になる

世界があまりにも確信に包まれてしまって
愛を伝える言葉さえ
必要なくなってしまうんじゃないかと思える


そのときになって、初めて
今までにうまくいかなかった恋、
ダメになってしまった恋の
全ては、間違っていなかったんだと

最終的に傷つけ合ってしまったのだとしても
お互いのためにも、それでよかったのだと

過去の、未熟だと思っていた私の決断の
その全ては、あるべきしてあったのだと

体と心の全てが
細胞の全てが
そう伝えてくれる

”あのときに犯した「間違い」は
間違いではなかったんだよ”



愛に落ちたとき
ありのままの自分を、本当に愛してくれる人に出会ったとき

自分の可能性は、無限大に拡がる


自分を深く愛し、注いでくれる敬意と呼応して
深いところにあった、自分の愛情や自分らしさ、
馬鹿みたいなジョークや
硝子のような繊細さを

自分にはこんな部分があったんだと
自分でも驚くほどに
発掘していく


そこからは
駆け引きも、誰かのようになることも必要なくなって
初めて、自分という存在を深めることに
全身全霊を注ぐことができる



愛に落ちるということは

過去の自分も
いまの自分も
未来の自分も
愛おしく愛し
信じる気持ちになれることだと思う


IMG_3632.jpg



いのち(2) 


雪におしっこさせようと思って
庭に出て、階段を登ったら
窓越しに
眠っているドンを見つめる、けいたの姿が見えた


ベッドと向き合って
椅子に座って
前かがみになって
眠るドンを見つめながら
けいたは
一人で何を思っていたんだろう


好きな人が
愛し合っているのに
先に死んでしまうことって
どれだけ悔しいことなんだろう



その日の朝
ドンは目を覚まして
私が一日いなかったので、雪とけいたと一日を過ごして
そして
また、雪と一緒に眠って

けいたと雪のいる部屋で
次の日の朝
ドンは亡くなった



悲しいと思うことや
苦しくて泣いてしまうこと
好きな人と別れてしまって寂しいと思うことは、何度もあったけれど

人が死んでしまうということは
こういうことなんだ
と思った


泣きやんでも、どんなに笑えることや楽しいことがあっても
悲しみが
何度も同じ強さで押しあがってくる


時が経っても
何度泣いたとしても
「二度といなくなってしまった」
という事実は消えることなく
変わることなくて


冬がもういないことや
ドンが死んでしまったことは
いまでも、いつまでも
同じ色をした同じだけの強い悲しみで

生きていたときと
同じだけの鮮やかさと強さで

いつまでもいつまでも生々しく
何度も何度も
心の中に鮮やかな痕をつける



IMG_1077.jpg

テンプルの中で 


テンプルの中には、亡くなった人たちの写真が山のように積み重なっていて
柱には、彼らを恋しがる言葉や、悲しみの声が溢れていた。
すすり泣く声や、黙って何かを見つめている人。
たくさんの死がそこにはあって、
それでも、テンプルの中には
死と同じだけの、たくさんの愛が溢れていた。

ひとつひとつの死は、みんなの愛情で包まれていて
泣く声や涙は全部、彼らを大切に思う人々から流れていた。
産まれてきてから、彼らはたくさんの素晴らしい時間を過ごして
だからこそ、こうしてテンプルにたどり着いたんだろう。


誰かがふいに、
「生きていることは素晴らしい!」
と叫んだ。


その声を聞きながら、それでも
死んでしまった人たちも、一度は生きていて
そして素晴らしい人生があったんだと思った。

それは、決して悲しいことじゃない。



私たちはいつか、必ず死んでしまう。
それでも、その日が来るまでに
私たちはたくさんのものを愛して、たくさんの人たちに愛されて生きる。

それが人生というものなんだと思う。


テンプルの中で、涙を流す人たちの声を聞きながら
私の愛する人たちのことを思った。
一緒にキャンプしている人たちや
いまこの瞬間、プラヤに散らばって元気に遊んでいる友達たちのことを思った。
キャンプに戻ったら、彼らがいて
私は、その体に触れることさえもできる。

その数はかぞえきれなくて
なんて美しいものを、私は持っているんだろうと思った。


世界に散らばっている、もう会わなくなってしまった人たち。
遠くに離れてしまった人。
いつか愛した人。
私の人生を変えた人たち。

もう二度と会えなくても
彼らがまだこの世界のどこかで生きていて
彼らの人生がちゃんと続いているということは
奇跡のように素晴らしいことだと思う。


私たちの時間は限られていて、私たちが使える時間にも制限がある。
私たちは、一時に限られた人たちとしか、関係を持つことはできなくて
それぞれの人生は、時と共に変わってゆくし
どうしても、誰か手放さないといけない時もある。
そしていつか死んでしまうとき、
私たちは、全ての人たちの手を離す。


そのことを考えながら
それでも
みんなと出会えたことを、とても光栄なことに思った。

人生の一瞬に、彼らの人生と私の時間が重なって
奇跡的に思い合って、愛し合えたこと。
そして、過去に出会ったたくさんの大切な人たちが、今でも世界のどこかで生きているということ。

死んでしまった人たちを思う、悲しみの中で
改めて、私の持っている、たくさんの美しいものたちのことを大切に思った。


IMG_8324.jpg



people who are alive, people who are gone 


In Temple, you hear so many cries and see many deaths
but there is so much love around each death
you miss them, because you had such a great time

yes, it is good to be alive
but the people who are gone used to be alive once and had a great life
that’s why they are there at Temple
you will die eventually too
and you will love so many and will be loved by so many until that time


and if you think of the people who are still alive
the people who you were camping with
the people who were on the playa

it must be countless
you could even see them
you could even touch them
what beautiful creatures


and the people who used to be in your life
the people who you used to love
the people who changed you life

they are still there somewhere out in a world
sometimes sadly, but sometimes happily
living their life
even if you may never see them again
they are still alive


you can hold onto only a certain number of people at the same time
you have limited time, limited resources and your life changes as time goes by
you sometimes have to let them go
Or you will have to let everyone go eventually
you will die alone anyway
you can’t take them with you


but I'm grateful I met them in my life
I'm grateful we loved each other at some point of our life

Temple always teaches me so