指輪と腕輪 


バーニングマンにいる間に、7年くらいつけていた、小指の指輪をなくてしまった。

いつも、こんな風に私は、大事にすれば大事にするほど、なくしてしまう。



砂漠の熱い太陽と砂埃の中、氷を買いにいった友達を待っている間、ひとりで踊っていた。

顔をあげたら、頭にジャラジャラをたくさんつけた自転車に乗ったおじさんが立ち止まっていて、
「This looks like for you」
と手を差し出した。

その手の中には、砂漠の砂で薄汚れた、何色なのかもよくわからない腕輪があって、
おじさんは、それをそっと私の腕につけてくれた。


それは、小指の指輪よりも100倍ぐらい大きくて、金色の装飾はところどころはげていて、
それでも、つけていると、
なんだか幸せな気分になれた。


あのおじさんは、私が指輪をなくしたことも、指輪にどんな意味があったかもなにもしらなくて、
いま、サンフランシスコの真ん中で、私が毎日この腕輪をつけて、笑ったり、苦しく思ったり、ときどき優しい気持ちになっていることも知らないだろう。


あの場所にくるひとたちは、それぞれ、いろんな過去を抱えていて、それから目をそらしたり、また、それと向き合うために、あの幻想の世界にやってくるんだと思う。

そこでの出会いが、誰かを支えて、誰かを泣かせて、誰かを勇気付けて、
また、前へと進めていく。