最後に抱き合う夜 


まだ、なんとか大丈夫だったかもしれないときと
もう、絶対にダメになったとき

その間に
最後に抱き合う夜
というものがあるんだと思う


最後に会うことや、最後の電話、最後のメールなんかはだいたい
たとえ曖昧だとしても、なんとなく、最後の予感を伴う

まだあるかもしれないけど、もう、二度とないかもしれない
でも、会おうと思えばまた会えるかもしれない


話したいと思えばまた話せると
自分をごまかすことはいくらだってできる

たとえ、心のどこかで
それは起こらないと分かっていたとしても



だけど
最後に抱き合う夜

それだけは、どうしようもなく
突然に訪れるものなのだと思う


あるとき
もう二度と抱き合うことはないということが絶対に変わらない事実となり

何気なかった無邪気なあの夜が
最後の夜になる


2人が、まだ2人きりでいた時間
誰よりも近くにお互いを近づけた時間
まだ、2人の先に光があった頃





だから、最後の夜はいつも
思い出せないくらいに当たり前で
温かく、切ないんだと思う