『1Q84』 ~悲しい空気の世界~ 

彼と出会ったのは、2004年の冬くらい。

どうしても流行りに乗り切れなくて避けていた作家でしたが、
友人に薦められて読み始めるとハマってしまい、今や、彼の作品は全巻所持しています。


村上春樹の作品の特徴は、淡くて、どことなく悲しくて、表現が豊かなようで、曖昧なところ。

7年ぶりの彼の長編『1Q84』は、
マーシャル・アーツのインストラクターと暗殺を仕事としている青豆という女性を主人公にした「青豆の物語」と
予備校教師で小説家を志す天吾を主人公とした「天吾の物語」が交互に描かれている
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』みたいなパラレル構成の本。

著者がこの作品を書いたきっかけはがオウム裁判で、犯罪の被害者と加害者からの「両サイドの視点から現代の状況を洗い直すことでもあった」というだけあって、読み始めはどことなく怖い。
少し宗教ちっくな部分もあるし、殺人もあるし、月が2つ見えたりします。
まだ読んでいない人にはチンプンカンプンだと思いますが、死んだヤギの口からリトル・ピープルが出てくるところなんか、激コワイ。



彼の本はすごく変わった文体・構成なので、読んだあとに感じることは人それぞれだと思いますが、
私にとって、この本はラブストーリーでした。(怖かったけど・・・)

最後の最後まで、これがラブストーリーだとは思わなかったけれど、
読んだあとに残された甘い、淡い、悲しい感じは、まさに恋愛小説の余韻。



以前もどこかで書いたけど、村上春樹を読むたびに、必要なものなんて、愛と小説とお酒と時間、それだけで十分だなぁと思います。

彼の小説にはMBAなんて出てこないし、ビジネスも、贅沢もあんまり出てこない。
ただ緩やかに流れる時間があって、切ない思いと、悲しい叶わない手に入らないものがあって、小説とお酒がときにそれを救ってくれて
そして、また緩やかに時間が流れる。

『1Q84』は、不思議な"1Q84"という時間の中で、二人が過去を求めたり、現在の何かをなくしたり、見つけたりする物語。
過去を追い求めることは難しいことだし、
早い時間の流れやダイナミックな世界の動きは前を見ることを強制するし、
そうしているうちに、小さい頃の記憶を追い求めることや過去を振り返ることをあきらめてしまうけれど、
『1Q84』は、そういうものをちゃんと探して、確かめることの大切さ、
「振り返って戻ってみることはできる」という可能性を伝えてくれる本だと思います。




それから、

全く重要じゃないのですが、本の中に拳銃を受け渡す場所として「千駄ヶ谷のルノアール」が出てきてびっくり。(超近所)
村上春樹の面白いところとして、ものすごく幻想的な描写の中に、実際にある場所、本、音楽が小説の中でごちゃまぜに出てくるところもひとつだと思います。
(映画『愛の流刑地』にも出てくるんですけどね・・・)


 



Comments

読書感想

私もこれを読んでブログに書こうかと考えていました。ところが、何度本屋さんに行っても品切れ中。まだ読めてません。tomokoleaさんと同じ感想になるか、また違ったものになるか、楽しみです。
渡辺淳一さんもお好きですか?私は「愛ルケ」にはまりました。主人公を我が身に置き換えて読みました。^^

> towa-scoさん

愛ルケも、日経新聞で読んでましたー。
いまはしっかり『甘海上海』にはまってます(笑)

『1Q84』、なかなか手に入らないみたいですね。
私はAmazonで予約して買いました。
みたら「在庫あり」になってましたよー。

No title

早速、amazonで注文しました!後は読書タイムを如何にして確保するかが難題です。
でも、早く読みたい~^^

> towa-scoさん

そうなんですよー(>_<)
私も誘惑に負けて、家事も勉強も仕事も何にもしないで、本を読むだけで1週末をつぶしました・・・。
一度読み始めると止まらないような内容なので、気をつけてくださいね!

No title

まったく内容明かさないでプロモーションしてたやつだよねー
辻仁成好き。
『白仏』、『ニュートンの林檎』とか良いよ。
『白仏』は壮大な恋愛小説・・。

> ひで

かなり古いけど、『ピアニシモ』とか持ってるなぁ。
あの文体が多感な思春期の心に響いて一時期ハマった(笑)
小説っていいよねー。

読み始めたものの、やはりいいところで家事と仕事に邪魔されてます。平日は読書タイム確保は不可能に近い・・数日のブランクで内容忘却しませんように。^^
途中感想は、「青豆もふかえりも、異色中の異色な女性。実在したらすごいぞ~」って感じかな。

> towa-scoさん

おぉぉ~読み始められたんですね!
そのうち家事も仕事もできないぐらいハマちゃうかもしれないので、がんばってください!(笑)

Comment Post















管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

Trackbacks URL
http://yumemora.blog54.fc2.com/tb.php/122-b4df76b3