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生と死の境 

真夏のような暑い日が続いたあと、その日は珍しく急に冷えこんで、コートが必要なぐらいだった。
数週間ぶりの雨がしとしとと降っていて、
「雨だから、スピード出すと危ないね」なんて話していた。


カーブの途中
反対車線に車が見えた。


どんな風にハンドルを切ったのか、
周りに人がいたのかどうかさえも見えなかった。

森の木々にぶつかる衝撃と、フロントガラスがつぶれる感触があって、
車が中に浮いたあとは、何がなんだかわからなくなった。
最後に見えた、迫り来る木々の緑と、「助手席大丈夫かなぁ」という思い。


あとで聞くと、車は助手席側を軸に一回転し、天井を打ってまた元に戻ったらしい。
周りで見ていた人たちはきっと、私が死んだと思っただろうなぁ。



車が止まったあと、私はひどく頭を打っていて、口の中にまで、ガラスの欠片が入っていた。

雨の降る中、木々の上に寝かされながら、日本で心配しているだろう両親と、なぜかケニアで出会ったAnnの顔が浮かんだ。
あの笑顔を、もう一度見たかったな、とか。





今思うと無事だったことは奇跡のようで、あとから何度も思い出しては、鳥肌が立つくらいに怖くなった。


でも、奇跡なんて起こってしまえばそれはもう奇跡でもなんでもなく、当たり前のように欲と見栄とくだらないしがらみの世界に押し戻される。

生と死の境のあの瞬間は、あんなにも、「してあげられなかったこと」ばかりを後悔したのにな。



周りが大騒ぎしているのを感じながら頭が朦朧としていた時間は、
大学や旅行やキャリアなんて、なんだか遠いところの話のようだった。

ただ、成し遂げられなかったことばかりを考えて、
もっと親にいろいろ伝えたかったとか、ケニアの友達のために何かすればよかったとか、
モロッコの砂漠を見たかどうかなんて、なんだかどうでもよかった。



生と死の境で思い出したもの、それは、自分自身の経験でも思い出でも走馬灯でもなんでもなく、与えきれなかった愛情と成し遂げられなかったこと。

求めているのは、自分を豊かにする人生じゃなくて、周りになにかを与えるための人生なんだということを、改めて思い知らされる出来事だった。



Comments

本当に無事でよかったね。

凄く迫りくるブログの内容でした。
「自分の場合はどうなんだろう?」と想像しか出来ないけど、それを考えなきゃいけないんだろうなぁ。

  • [2011/05/02 01:24]
  • URL |
  • 大山晋輔
  • [ Edit ]
  • TOP ▲

Re: 大山くん

うん、心配かけてごめんね。。

私もこの経験を忘れないで、ちゃんと納得のいく人生にできるようにがんばるよー。
あんなに「死にたくない」って思うとは思わなかった。

事故に遭ったと知って、びっくりしたよ!
無事で良かった。本当に。
元通り落ち着くまでまだ時間がかかるかもしれないけど、お大事にしてください。
応援してます!

  • [2011/05/02 08:59]
  • URL |
  • 田中雅子
  • [ Edit ]
  • TOP ▲

びっくりした。
ともこが無事でよかった。
でもこのブログ読んで、私がそういう経験をしたらどう思うか考えたら、普段ウダウダ言ってる事がアホらしくなる。

Re: まーちゃん

心配かけてごめんー(>_<)
もうすっかり元通りだよ。
そこが私の悪いところなんだけど・・・。

ちゃんと反省して安全運転します!

Re: れいこ

でもうだうだ言っちゃうよね(笑)
CAに引っ越したらいっぱい語ろうね。

本当に無事で何より。リアル過ぎる体験で、何だかGW中に色々と考えさせられる。ちょうど今ひとりで色々と考え込んでいる時期なだけに。

無事でよかった。
改めて気づいたその気持ちを大切に。

くれぐれも気をつけてすごしてね。


ともこが無事でほんとよかった。


Please take care. Please.

Re: えーきくん

ほんとに無事でよかった。笑
この気持ちを忘れないように気をつけるよ。

Re: ちえ

心配かけてごめんよー。
ちえこそくれぐれも気をつけて!

Re: Sari

Thank you! さりもね。

新しい命

僕も、似たような経験をしたことがあるよ。

あれは、研修医2年目で九州医療センターで働いていた頃、飯塚方面から福岡に戻るとき、南国育ちで雪道の怖さをしらなかったぼくは、なんの装備もしないで、視野 50 m くらいの吹雪のなか、80 km/h程度で飛ばしていた。すると、急に赤信号が見えて、あわててブレーキを踏んだら、停まるどころか、すーっと加速がついて、どんどん前の車が近づいて、大きくなってきて、ぶつかるーって無我夢中にハンドルを操作してたら、前にならんでいた車と車の間にスポってハマる感じで停まって、奇跡的に車体を擦るだけですんだんだ。ほんと、ぶつかっていたらこの場にいなかったんじゃないかと思う。今でも思い出して、今ある命に感謝して、何事にもpositiveに考えられるようになってる。生きているから言えるけど、一つのturning pointかな。

Re: 新しい命

そうだったんだ。知らなかった・・・
私も、打ったのが頭だったから、大丈夫なのかどうなのかもわかんないままぼーっとしてたんだよね。
そのときに頭に浮かんだことが、きっと人生でやらないといけないことなんだろうな、って思う。
私も、今でも思い出すよ。

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