彼女 


プールで泳ぎながら泣いた私を、「可愛いなぁ〜」と笑う鈴のような声。

アネモネの恋を熱唱しながら目を細める、その可愛く切なく結んだ唇。

少年のような髪をして、私よりも一回りも背が低いくせに、真面目な顔をして「大丈夫?」というその眼差し。

飲んだら次の日絶対遅刻をして、誰もにバレるような憎めない誤魔化しをして、それでも懲りずに「空けといた♡」という、ダメで仕方ない愛おしい存在。

冷蔵庫を開けたら10個の卵があって、それでも、本当はその手を必要としているのは私の方だったりすること。

"I miss you, I can't wait to see you"のメッセージと同じに存在する、"can you buy this at cvs?"という、砕けた、その相変わらずのバランス。



ドアを開けたら、そこに彼女がいた。

どこでもドアのように、いつ開けてもそこにいてくれる、それを知っているだけで、たとえ開けなくても、果てしなく守られているような気持ちになった。



こうして一歩ずつ乗り越えてゆく私は、もしかしたら、もう戻れないのかもしれないと思う。
でもそれはそれで、きっと、いいことなんだと思う。

離れていても、手をつないで、私たちは、前を見ている。


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