香港の街角 つないだ手 


いつも、寂しくなって会いにいくのに
会ったあとには、もっと寂しくなって
空港からの通い慣れた道が、まるで知らない道のように見える


どんなに頑張っても
時間は戻せなくて
私たちに残された時間は、限られている


毎日のように電話して、
がんばって年に2回ぐらいこうして世界のどこかで会ったとしても
私たちが会えるのは、もうあと60回ぐらいしかないんだと思うと
当たり前のようにそばにいた時間が
なんだか夢のような気持ちにさえなる

小学生の頃、
遊びつかれて家に帰ると、当たり前のように、そこに2人がいた

当たり前のように一緒にごはんを食べて、おやすみを行って階段を上がって
週末は海に行ったり、おばぁちゃんのうちを訪ねたり

そして、日曜日の夜は、いつもなぜか心細い気持ちになった


ジョンレノンの流れる車の中
これからの人生に何が待っているのかも、どういうことが起こるのかもわからないまま
運転席と助手席で小さな声で話す2人の後姿を、うとうとしながら見ていた

あの頃
2人が、私の人生のすべてだった


こうして、いつか飛び立ってしまうことを知っていて、
いつか、一生で会える数が未知数ではなくなってしまうことを知っていて、
それでも無償の愛を注いでくれた人

無条件に、ただ私の幸せだけを思って、ただそれだけを思って

怒られたりいろいろしたことも、全部、
もう会えなくなったあとに、私が幸せでいつづけられるためだったんだと
いまなら、こんなにもわかるのにな



香港の知らない街の中で、信号を待ちながらつないだ2人の手

忘れていたお父さんのうるさいいびきや
お母さんの小さな靴

私を呼ぶ独特な名前のイントネーションや
何度も私を撫でた、冷たい、その優しい手


「じゃあね」と手を振って、タクシーを見送る小さな姿が
背を向けて
だんだん見えなくなって

2人は、何度こうして、私のことを見送ってきてくれたんだろう

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