声 


あの日、真っ昼間の公園で聴いた彼の声は、
まるで夢の国から聴こえてくる声のように、現実味がなかった。

墜落する直前の飛行機からの電話のように、なんだか祈るような気持ちで、二人をつなぐ電波を思った。

彼は酔っていて、しばらくの間、まるで出会った頃のような子供っぽい口調で近況を話していた。


ふと、二人を隔てる時間の差とか、その間の距離や海を思って、
遠いな、と思った。

真っ昼間の公園で、さっきまで笑っていた私を瞬時に泣かせる力は、きっと、世界で2、3人しか持っていないだろうなと思う。


いつか、たとえばうっかり事故なんかにあって、幸運にも死ぬまえにちょびっと何かを思い出すことがあるとすれば、たぶん二人のことだろうと思う。

それは、あまりに自分勝手でわがままな願いで、「ねぇ、死ぬときに後悔するからいま謝りたいんだけど」なんて言って連絡を取ることなんてもちろんできず、ただ、毎日暖炉の上の神様に祈っていた。

私の、世界にたった3人しかいなかった家族。



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