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優しさの音 


Uberに乗って来る子のことを、マックスに似てるなぁ、マックスの子供版みたいだな、と思いながら見ていた。

車に乗り込んだ彼は、手を差し出して、「I'm Mike」と言って微笑んだ。
時間はもう朝の2時ぐらいだった。

私は1時からという回す知り合いのDJに行くのに寝坊していて、彼は、今から出かけるという私に、大笑いしていた。

しばらく、家族の話や旅行の話をしていて、不意に仕事の話になった。
彼は、自分は消防士だと言った。

「大学では救急医学を勉強して、今は消防車や救急車に乗っているんだ。」


「僕たちの世界は、20分の世界。
サイレンがなって、車に乗り込んで、倒れた人の元に駆けつけて、サイレンを鳴らして街中を走り、病院の緊急口に降ろす。
僕らは、その20分間に、全ての情熱と工夫と意識を集中するんだ。」


昔つきあっていた彼が、古い消防署を改造した部屋に住んでいた。
その部屋の真ん中には、床に穴が空いていて、柱が突き抜けていた。

サイレンが鳴ったら、消防士たちは一瞬で、その柱をつたって消防車へと向かう。
それで稼げる時間はたった数秒なのに、部屋のど真ん中の床に穴を開けてしまう、その心意気をすごいと思った。


「サイレンの音は、優しさの音なんだよ。」
と言った、メディテーションセンターの人の言葉を思い出した。

「みんながうるさいと思うサイレンの音は、人が誰かを助けに向かう、優しさの音なんだよ。」


その言葉を聞いたマイクは、真面目な顔をして、
「ありがとう。」と言った。


夜は更けていって、街にはサイレンの音が鳴り、
Uberは、私たちの人生を、二度と重ならない形でこうして触れ合わせていく。





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